介護分野で働く:受入れの条件と、
特定技能2号がなくても長く働ける理由
介護分野は、特定技能2号(在留の更新に上限がなく、家族を呼べる区分)の対象に入っていません。ただし、それとは別に「介護福祉士の資格を取れば、更新回数の上限なく家族を呼んで日本に住み続けられる道」がもともと用意されています。ここでは、介護分野を選んだときに実際どういう条件で働くことになるか、その先にどんな道があるかを、政府が公表している数字と条文で整理します。
この記事の要点
- 受入れ見込数は5年間で16万700人(特定技能1号12万6,900人+育成就労3万3,800人)です。
- 有効求人倍率は令和6年度で4.08倍、全都道府県で2.00倍以上です。
- 転籍(本人の意向による勤務先変更)が認められるまでの制限期間は2年です。
- 特定技能2号の対象外ですが、介護福祉士の資格を取れば更新回数の上限なく家族を呼べる在留資格「介護」があります。
1. 受入れの規模と人手不足の度合い
介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(2026年1月23日閣議決定)によると、介護分野の受入れ見込数は次の通りです。
| 区分 | 人数 | 期間 |
|---|---|---|
| 分野全体(特定技能1号+育成就労) | 160,700人 | 令和6年度〜令和10年度の5年間 |
| うち特定技能1号 | 126,900人 | 令和6年度から5年間の上限 |
| うち育成就労 | 33,800人 | 令和9年度から2年間の上限 |
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有効求人倍率は令和6年度で4.08倍です。運用方針の本文には「全都道府県において2.00倍以上」とも明記されています。地域による有効求人倍率の差が小さく、全国的に人手不足が深刻ということです。
2. どんな仕事をするか
特定技能・育成就労どちらも、業務区分は「介護」の1本のみです。従事する業務は身体介護等(利用者の心身の状態に応じた入浴・食事・排せつの介助等)と定義されています。付随的に、お知らせの掲示物管理や物品補充などの関連業務も行ってよいとされています。
雇用形態は直接雇用のみです(労働者派遣は不可)。
3. この分野特有の受入れ条件
介護分野は、他の分野と比べて条件が細かく定められています。運用方針の原文にある主なものを並べます。
- 事業所ごとの受入れ人数の上限:その事業所で働く日本人等の常勤介護職員の総数までです
- 育成就労の指導体制:育成就労外国人5人につき指導員1人以上を配置し、指導員のうち1人以上は介護福祉士資格保有者(またはこれと同等の専門知識・技術を持つ者)である必要があります
- 入国前に日本語力が必要:育成就労を開始する前の時点で、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の日本語力が求められます(他の一部の分野は入国後の習得でよいものもあります)
- 訪問介護等は条件付き:訪問介護等の業務に従事できるのは、介護職員初任者研修等を修了し実務経験のある人に限られます。そのうえで、業務の基本事項に関する研修・一定期間の同行訓練・相談窓口の設置など、受入れ側に5項目の遵守事項が課されています
- 育成就労を実施できる事業所は、開設後3年以上経過している(またはそれに準ずる体制が整っている)ところに限られます
本人の意向による転籍が認められるまでに2年かかります。運用方針が挙げる理由は、介護が継続した利用者のいる対人支援サービスで信頼関係の醸成に時間がかかること、都市部への人材流出を防ぐ激変緩和措置であることの2点です。1年を超える制限をかける事業所には、処遇改善加算の取得と個別のキャリア支援プラン作成が義務づけられています。
4. 長く働き続ける道
介護分野は、特定技能2号の対象外です(入管庁「介護分野」ページ・運用方針本文とも同旨)。特定技能1号のまま働ける期間には上限があり、家族の帯同もできません。
ただし介護分野には、特定技能2号とは別に、介護福祉士の国家資格を取ると得られる在留資格「介護」という長期の道があります。
- 在留資格「介護」(入管庁):該当する活動は「介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務」です。在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかで、更新回数に上限の定めはありません
- 在留資格「家族滞在」(入管庁)の対象一覧に「介護」が含まれています。つまり配偶者・子を呼ぶことができます
つまり、特定技能2号の対象になっていないことは「行き止まり」を意味しません。介護福祉士の資格を取るという別ルートで、特定技能2号と同等以上の長期滞在・家族帯同が制度上可能になっています。
もう一つ、EPA(経済連携協定)に基づく受入れという別枠もあります。インドネシア・フィリピン・ベトナムとの協定に基づき、候補者として日本で就労・研修しながら介護福祉士国家試験の合格を目指す仕組みで、在留資格は「特定活動」です。技能実習・育成就労・特定技能とは別の窓口(JICWELS=国際厚生事業団)で運用されています。詳しい応募条件・選考フローは未確認のため、ここでは仕組みの存在のみ記します。
5. 介護福祉士の資格を取るには
在留資格「介護」にたどり着く主なルートは2つあります(介護福祉士国家試験センター)。
- 実務経験ルート:介護等の実務経験(分野によって年数の要件あり)+実務者研修の修了が必要です
- 養成施設ルート:介護福祉士養成施設を修了し、登録することで資格を得られます
育成就労・特定技能の側にも、この資格取得につながる試験が新設されます。運用方針が定める技能水準は次の通りです(新旧の試験名が混在する過渡期のため、両方を記します)。
| 段階 | 技能水準 | 日本語水準 |
|---|---|---|
| 育成就労・開始前 | — | 「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上 |
| 育成就労・1年経過時 | 介護育成就労評価試験(初級) | A2.2相当以上+日本語学習プラン(B1相当合格者は作成不要) |
| 育成就労・修了時 | 介護育成就労評価試験(専門級) | A2.2相当以上+介護特定技能評価試験(日本語) |
| 特定技能1号 | 介護特定技能評価試験(技能)相当以上(技能実習「介護」2号を良好に修了した人は免除) | A2.2相当以上+介護特定技能評価試験(日本語)(同上、技能実習2号修了者は日本語試験も免除) |
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まとめ
- 介護分野の受入れ見込数は5年間で16万700人。有効求人倍率は令和6年度で4.08倍、全都道府県で2.00倍以上です。
- 事業所ごとの受入れ人数の上限や訪問介護の従事条件など、他の分野より細かい条件が定められています。転籍の制限期間は2年です。
- 特定技能2号の対象外ですが、介護福祉士の資格を取れば更新回数の上限なく家族を呼べる在留資格「介護」があります。EPAという別枠の受入れもあります。
分野ごとの受入れ枠や特定技能2号への道の有無を他の分野と比べたい場合は、「育成就労の業界一覧」で確認できます。
お金や契約のことで不安があるときは、母国語で相談できる公的な窓口があります。相談は無料です。まず、話してみるところからで大丈夫です。
外国人技能実習機構(OTIT) 母国語相談(ベトナム語)Tiếng Việt外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)Tiếng Việt出典
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」www.moj.go.jp/isa/content/001454688.pdf(取得 2026-07-29)
- 出入国在留管理庁「在留資格「介護」」www.moj.go.jp/isa/applications/status/nursingcare.html(取得 2026-07-29)
- 出入国在留管理庁「在留資格「家族滞在」」www.moj.go.jp/isa/applications/status/dependent.html(取得 2026-07-29)
- 出入国在留管理庁「特定技能「介護分野」」www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nursingcare.html(取得 2026-07-29)
- 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 受験資格」www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/index.html(取得 2026-07-29)
更新 2026-07-29/次回見直し 2027-03-01。 内容は変動する可能性があります。この記事は一般的な情報の整理であり、個別の判断は上記の相談窓口へ。