お金で見る、日本での1年目
日本に行くと、実際にどれくらいお金がかかって、どれくらい手元に残るのでしょうか。契約する前にざっくりでもイメージできていると、送り出し機関から提示された金額が高いのか普通なのかを自分で判断しやすくなります。
この記事の要点
- 入国前にかかるお金は平均 656,000円(参考:約1億562万ドン)
- 80%が借金をして来日、平均 674,480円(参考:約1億859万ドン)
- 自分の財布から確実に出るのはビザ代くらいです
- 手取りは額面より2〜3万円少ないです。2年目はさらに減ります
1. 入国前にかかるお金(送り出し機関へ払う分)
出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査」(2022年7月公表)が、技能実習生2,184人(うちベトナム930人)に直接聞き取った調査によると、ベトナムから来た人が送り出し機関に払った金額の平均は次の通りです。
| 内訳 | 平均額(円・調査元データ) |
|---|---|
| 派遣手数料 | 320,272円(参考:約5,156万ドン) |
| 事前教育費用 | 94,302円(参考:約1,518万ドン) |
| 保証金・違約金 | 29,339円(参考:約472万ドン) |
| 合計(平均) | 656,000円(参考:約1億562万ドン) |
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src/data/fx.ymlのレート(基準日はそちらを参照)による参考換算のため、当時実際に支払われたドン額とは一致しません。保証金・違約金は本来かからないはずのお金です。それでも平均 29,339円(参考:約472万ドン) が実際に徴収されています。求められたら要注意です。
借金をして来る人がほとんど
同調査によると、ベトナムから来た人の80%が借金をしていて、平均額は674,480円(参考:約1億859万ドン)です。多くの人が「来日後の給料から返す」計画で来ています(返済の話は5章で)。
2. 入国の手続きにかかるお金
送り出し機関への支払いとは別に、入国そのものの手続きでも費用が発生します。
| 項目 | 金額の目安 | 誰が払うか |
|---|---|---|
| 査証(ビザ)手数料 | 2,590,000ドン(参考:約16,087円) | 本人 |
| 在留資格認定証明書(COE) | 0円(無料) | — |
| 雇い入れ前後の健康診断 | 8,600〜10,000円/回 | 原則、会社 |
| 渡航費(片道航空券) | 約3〜6万円 | ケースによる |
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自分の財布から確実に出ると言えるのは、実はビザ代くらいです。健康診断は会社が払うのが原則なので、「健康診断代まで自分で払うのでは」と心配しなくて大丈夫です。
3. 働き始めてからの給料(額面と手取りの違い)
来日前に「月給◯円」と説明されても、実際に振り込まれる金額(手取り)はそれより少なくなります。理由は税金と社会保険料が天引きされるためです。
前掲の出入国在留管理庁調査では、来日前に説明された給料の平均は149,146円(参考:約2,401万ドン)/月です。しかし実際にもらってみると、約21%が「思っていたより少ない」と感じています。その理由の約33%は「税金・保険が引かれることを知らなかった」というものです。
具体例:最低賃金で働いた場合の手取り(2026年7月・愛知県の例)
| 金額 | |
|---|---|
| 額面(総支給) | 182,400円(参考:約2,937万ドン) |
| 健康保険料 | −8,937円 |
| 厚生年金保険料 | −16,470円 |
| 雇用保険料 | −912円 |
| 源泉所得税など | −2,937円 |
| 手取り(1年目) | 153,144円(参考:約2,466万ドン) |
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これは1年目の金額です。住民税は2年目から課税されるため、額面が同じでも手取りが月6,000〜6,500円ほど減ります。「2年目になったら給料が減った」と感じたら、多くはこれが理由です。
4. 生活費を引いたら、いくら残るか
KOKORO「日本の物価と生活費」(在日ベトナム人協会×毎日新聞社、2024年1月)の編集部取材によると、日本での技能実習生の生活費(寮費・光熱費を除く、食費・雑費・交通費)は、月25,000〜50,000円程度というのが実際の目安です。多くの人が自炊をするなどして切り詰めています。
寮は会社が用意するのが通常ですが、寮費・光熱費は会社によって差が大きいです。契約前に確認しておきたいポイントの一つです。
1年目の月次収支モデル(試算)
| 金額 | |
|---|---|
| 手取り | 153,144円(参考:約2,466万ドン) |
| 生活費(食費・雑費・交通費) | −25,000〜50,000円 |
| 寮費・光熱費・送金・返済に使える残り | 約103,000〜128,000円 |
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5. 借金の返済リアリティ
1章で見たように、多くの人が来日前に借金(平均674,480円(参考:約1億859万ドン))をしています。出入国在留管理庁の同調査によると、実際の返済状況は次の通りです。
- 68.8%が来日中(働きながら)返し始めています
- 94%が2年以内に完済しています
4章の月次収支モデルと合わせると、残った約103,000〜128,000円の中から、寮費・光熱費・送金分を引いても、月4〜5万円程度を返済に回せれば、1〜2年で完済という多くの人と同じペースになる計算になります。ただし寮費の実額次第で余裕は変わるので、ここは目安として捉えてください。
まとめ
- 入国前だけで平均656,000円(参考:約1億562万ドン)、多くの人がそのうち平均674,480円(参考:約1億859万ドン)を借金でまかなっています
- 入国の手続き自体で自分の財布から出るのは、確実な金額として言えるのはビザ代(2,590,000ドン(参考:約16,087円))くらいです
- 「月給◯円」と説明されても、手取りはそれより2〜3万円ほど少ないです。2年目はさらに住民税で数千円減ります
- 生活費を切り詰めれば、手取りの半分〜7割程度を送金・返済に回せる計算になります
契約する前に、送り出し機関から提示された金額がこの相場からかけ離れていないか、保証金・違約金を求められていないかを確認しましょう。(→ 危険信号チェックリストへのリンク、③公開後に追加)
お金や契約のことで不安があるときは、母国語で相談できる公的な窓口があります。相談は無料です。まず、話してみるところからで大丈夫です。
外国人技能実習機構(OTIT) 母国語相談(ベトナム語)Tiếng Việt外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)Tiếng Việt出典
- 出入国在留管理庁「技能実習生の支払い費用に関する実態調査(2022年7月公表)」www.moj.go.jp/isa/content/001377366.pdf(取得 2026-07-24)
- 在ベトナム日本国大使館「ビザ手数料」www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/JP_VisaFee.html(取得 2026-07-24)
- KOKORO(在日ベトナム人協会×毎日新聞社)「日本の物価と生活費(2024年1月)」www.kokoro-vj.org/ja/post_5729(取得 2026-07-24)
更新 2026-08-01/次回見直し 2027-03-01(育成就労制度への移行前)。 手数料・為替・最低賃金は変動します。この記事は一般的な情報の整理であり、個別の判断は上記の相談窓口へ。