外食業で働く:受入れ枠5万人でも、
いま新規受入れが止まっている理由
外食業は、受入れ見込数(特定技能1号だけで5年間5万人)も大きく、特定技能2号への道もある分野です。数字だけ見れば魅力的ですが、2026年4月13日から特定技能1号の新規受入れが実質的に止まっています。ここでは、外食業を選んだときの働き方・条件と、いまこの分野で実際に何が起きているかを、政府が公表している運用方針とお知らせの一次情報で整理します。
この記事の要点
- 特定技能1号の受入れ見込数(上限)は5年間で5万人ですが、2026年2月末時点で約4万6千人に達し、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が停止しています。
- 有効求人倍率は令和6年度で4.15倍、全体(1.25倍)の約3倍です。
- 転籍(本人の意向による勤務先変更)が認められるまでの制限期間は2年です。
- 特定技能2号への道はありますが、技能試験に加えて副店長・サブマネージャー等としての実務経験が要件になっています。
1. 受入れの規模と人手不足の度合い
外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針によると、受入れ見込数は次の通りです。
| 区分 | 人数 | 期間 |
|---|---|---|
| 分野全体(特定技能1号+育成就労) | 55,300人 | 令和6年度〜令和10年度の5年間 |
| うち特定技能1号 | 50,000人 | 令和6年度から5年間の上限(令和10年度末まで) |
| うち育成就労 | 5,300人 | 令和9年度から2年間の上限(令和10年度末まで) |
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有効求人倍率は令和6年度で4.15倍。運用方針の本文には「全体の有効求人倍率1.25倍の約3倍」と明記されています。日銀短観の雇用人員判断DIは令和7年6月実績でマイナス60、令和7年9月の予測でマイナス62と、いずれも全業種中最も深刻な水準です。
外食業分野全体の受入れ見込数5万5,300人のうち、特定技能1号だけで5万人を占めます。この「1号の受入れ見込数(上限)」に対して、実際の在留者数がどこまで近づいているかが、次の章で説明する新規受入れ停止の直接の理由です。
2. どんな仕事をするか
業務区分は「外食業」の1本です。運用方針の別表によると、従事できる業務は在留資格ごとに次のように定められています。
| 在留資格 | 従事する業務 |
|---|---|
| 特定技能1号 | 外食業(飲食物調理、接客及び店舗管理) |
| 特定技能2号 | 外食業(飲食物調理、店舗管理及び店舗経営) |
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育成就労では、「外食業」(一般的な外食店舗)と「医療・福祉施設給食製造」(病院・福祉施設向けの給食調理)の2種類の主たる技能が用意されています。技能実習の職種「医療・福祉施設給食製造」を修了した人が外食業分野に移る際の実例として、後者があてはまります。
雇用形態は直接雇用のみです(労働者派遣は不可)。
特定技能所属機関(受入れ企業)には、この分野特有の条件として次が課されています。
- 風俗営業法上の風俗営業を営む営業所での就労をさせないこと(旅館・ホテル営業の許可を受けている場合を除く)
- 性風俗関連特殊営業を営む営業所での就労をさせないこと
- 風俗営業法上の「接待」をさせないこと
- 分野別協議会(食品産業特定技能協議会)の構成員になること
3. この分野特有の受入れ条件:転籍制限2年
外食業の転籍制限期間は2年です。運用方針が挙げる理由は次の通りです。
- 調理・接客・店舗管理が一連の業務であり、特に接客には日本語や日本の慣習・文化の習熟に加え、受入れ機関ごとに異なる提供メニュー・調理・店舗設備等の理解と業務経験が必要で、同一の受入れ機関で2年間育成を継続する必要性がある
- 医療・福祉施設給食製造では、下処理を含む一般的な調理に加え、患者・利用者ごとの症状・嚥下機能・薬剤の影響・アレルギー等に応じた食品の刻み作業や調味料等の調理方法の分別が必要で、専門用語の理解や患者・利用者に応じた対応の修得にも同一機関で2年間必要
- 令和7年1〜3月の有効求人倍率は都市部3.89倍・地方部4.61倍で地方部の方が高く、転籍を制限しなければ人材が都市部に過度に流出しかねないため、激変緩和措置として当面の間2年とする
1年を超える転籍制限期間を設定した育成就労実施者は、その代わりとして待遇向上策を負います。毎年、協議会が外食業分野の昇給率(所定内給与の定期昇給分及びベースアップ分を基準に設定・公表)を決め、1年目から2年目にかけて、在籍する育成就労外国人の所定内賃金をその昇給率で昇給させることが必要です。
4. いま実際に受け入れているか:2026年4月13日からの新規受入れ停止
ここが、外食業を選ぶ・移る前に必ず確認すべき点です。
この停止は突発的な措置ではありません。運用方針自体に、農林水産大臣が①在留者数②有効求人倍率③雇用人員判断DIの指標で人手不足の状況を把握し、受入れ見込数を超えることが見込まれる場合には法務大臣に対し在留資格認定証明書交付の一時停止を求めることができる、という仕組みがあらかじめ定められています。今回はその仕組みが実際に発動した形です。
経緯
入管庁・農林水産省の発表(令和8年3月27日)によると、外食業分野の特定技能1号在留者数は2026年2月末時点で約4万6千人(速報値)に達し、2026年5月頃に受入れ見込数(5万人)を超える見込みとなりました。これを受け、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付を一時停止する方針が示されました。
3月27日発表時点の扱いは次の通りです。
| 申請の種類 | 2026年4月13日以降に受理した申請 | 2026年4月13日より前に受理した申請 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 不交付 | 審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次交付(在留者からの変更許可申請を優先するため遅延の可能性あり) |
| 特定技能1号(外食業分野)への在留資格変更許可申請 | 原則不許可。ただし①外食業分野で特定技能1号として在留する人からの申請(転職等)、②技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」修了者、③特定活動(特定技能1号移行準備)の許可を受けている人からの申請は、審査の上受入れ見込数の範囲内で順次許可(①は通常どおり、②③は②を優先) | 審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次許可 |
| 在留期間更新許可申請 | 通常どおり審査 | |
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2026年7月17日時点の最新状況
入管庁の審査状況ページ(2026年7月17日掲載)によると、在留資格認定証明書交付申請は引き続き交付停止中です。在留資格変更許可申請は次の扱いになっています。
| 変更元 | 扱い |
|---|---|
| 技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」からの変更 | 受付日が令和8年6月30日までの申請は通常どおり審査 |
| 外食業分野に係る特定活動(特定技能1号移行準備)からの変更 | 受付日が令和8年6月30日までの申請は通常どおり審査 |
| 特定技能1号(外食業分野)からの変更(分野内での転職) | 全ての申請を通常どおり審査 |
| 上記以外の在留資格からの変更 | 受付日が令和8年4月12日までの申請のみ。4月13日以降受理分は原則不許可 |
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技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」からの変更申請は優先的に扱われていますが、受入れ見込数の範囲内での順次許可であり、無条件の許可を意味しません。同じ審査状況ページには、技能実習生は実習計画が修了した後は稼働することができないこと、技能実習からの変更を希望する場合は就労開始予定日の2か月以上前に在留資格変更許可申請を行うようにとの案内も記載されています。順番が来る前に在留期限が来る見込みの場合は、特定活動(特定技能1号移行準備)への変更や同在留資格での在留期間更新(1回まで)を案内される場合があります。
なお、これらの停止措置は特定技能1号に関する申請の扱いです。特定技能2号への在留資格変更については、今回確認した2つのお知らせに記載がなく、この記事の時点では扱いを確認できていません。
今後の見通し
運用方針には、農林水産大臣が指標の変化に応じて分野別運用方針の見直しを検討・発議し、再び人材確保の必要性が生じたと認められる場合には法務大臣に対して交付の再開を求めることができる、と定められています。ただし再開の時期そのものは、今回確認した資料からは分かりません。
5. 長く働き続ける道:特定技能2号
外食業は特定技能2号の対象分野です。ただし、2号になるための要件は他の分野より具体的です。運用方針が定める要件は次の通りです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 技能水準 | 外食業特定技能2号評価試験に合格 |
| 実務経験 | 食品衛生法の営業許可を受けた飲食店等において、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての実務経験(当該経験を終えてから、農林水産大臣が別途定める期間を経過していない者に限る) |
| 日本語能力水準 | 「日本語教育の参照枠」のB1相当以上 |
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技能試験に加えて、副店長・サブマネージャーなど人を指導・監督する立場での実務経験が要件に含まれているのが外食業の特徴です。単に長く働くだけでなく、店舗管理を任される立場に就く必要があります。特定技能2号になれば、在留期間の更新に上限がなくなり、配偶者・子を呼ぶことができます。
まとめ
- 外食業の受入れ見込数は5年間で5万5,300人(うち特定技能1号5万人)。有効求人倍率は令和6年度で4.15倍と、人手不足そのものは深刻です。
- ただし2026年4月13日から、特定技能1号の在留資格認定証明書交付が停止しています。2026年7月17日時点でも交付停止は継続中で、変更許可申請も申請元によって扱いが異なります。
- 技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」からの移行者は優先的に扱われますが、無条件の許可ではありません。
- 転籍制限期間は2年(激変緩和措置)。1年を超える制限を設定する育成就労実施者には、協議会が定める昇給率での昇給義務があります。
- 特定技能2号への道はありますが、技能試験に加えて副店長・サブマネージャー等としての実務経験と日本語B1相当が要件です。
他の分野の受入れ枠や特定技能2号への道の有無と比べたい場合は「育成就労の業界一覧」、技能実習からの移行全般については「技能実習のあと特定技能へ移れるか」で確認できます。
お金や契約のことで不安があるときは、母国語で相談できる公的な窓口があります。相談は無料です。まず、話してみるところからで大丈夫です。
外国人技能実習機構(OTIT) 母国語相談(ベトナム語)Tiếng Việt外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)Tiếng Việt出典
- 法務大臣・厚生労働大臣・国家公安委員会・外務大臣・農林水産大臣「外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」www.moj.go.jp/isa/content/001454703.pdf(取得 2026-07-30)
- 出入国在留管理庁・農林水産省「特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(令和8年3月27日)」www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00001.html(取得 2026-07-30)
- 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況(2026年7月17日掲載)」www.moj.go.jp/isa/10_00259.html(取得 2026-07-30)
更新 2026-07-30/次回見直し 2026-09-01。 内容は変動する可能性があります。この記事は一般的な情報の整理であり、個別の判断は上記の相談窓口へ。