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技能実習のあと特定技能へ移れるか:2026年の対応表と、
いま残っている壁

在留中満了・その次更新 2026-07-30 ・ 読了 約8分

技能実習が終わったあと、特定技能に移って日本で働き続けられるかどうかは、①自分の職種に移行先があるか、②試験に通るか、③勤め先が受入れの条件を満たしているか、の3つで決まります。

この記事の要点

1. 公式の対応表で確認する

入管庁は「技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について」という一覧表を公表しています。自分の職種・作業名を、この表でそのまま引けます。

原本は7つの分類(農業・林業/漁業/建設/食品製造/繊維・衣服/機械・金属/その他)にまたがる長い表なので、分類ごとに1行だけ抜き出した簡易版を示します(全体はリンク先のPDFで確認してください)。

分類技能実習の職種(作業)移れる特定技能1号の業務区分
農業・林業関係耕種農業(施設園芸・畑作・野菜・果樹)農業(耕種農業全般)
漁業関係かつお一本釣り漁業漁業(漁業)
建設関係建築大工(大工工事)建設(建築)/工業製品製造業(プレハブ住宅製品製造)
食品製造関係医療・福祉施設給食製造外食業
繊維・衣服関係婦人子供服製造(婦人子供既製服縫製)工業製品製造業(縫製)
機械・金属関係電子機器組立て工業製品製造業(機械金属加工)ほか複数
その他かばん製造工業製品製造業(かばん製造)
社内検定型ボイラーメンテナンス(対応なし)

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2026年6月1日時点では、対応する特定技能1号の業務区分が空欄になっているのは「ボイラーメンテナンス」(社内検定型)の1職種だけでした。それ以外の職種・作業には、少なくとも1つの移行先があります。

外食業分野は現在、新規受入れを停止中

上の表にある「医療・福祉施設給食製造→外食業」は、対応表の上では移行先が存在します。ただし出入国在留管理庁は2026年3月27日、外食業分野の特定技能1号在留者数が本年5月頃に受入れ見込数(5万人)を超える見込みだとして、同年4月13日から在留資格認定証明書交付申請を原則不交付とする措置を発表しました。

2026年7月17日時点の審査状況によると、在留資格認定証明書交付申請は引き続き交付停止中です。技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」からの在留資格変更許可申請は、受付日が2026年6月30日までのものに限り通常どおり許可されており、それ以外の在留資格からの変更は受付日が2026年4月12日までの申請に限られます。つまり「対応表に移行先がある」ことと「実際にいま受け入れてもらえるか」は別の問題で、分野によっては後者が制約されています。

同じ審査状況ページには、技能実習生は実習計画が修了した後は稼働することができないこと、技能実習からの変更を希望する場合は就労開始予定日の2か月以上前に在留資格変更許可申請を行うようにとの案内も記載されています。受入れ見込数の制約で審査に時間がかかる分野ほど、この2か月という余裕は実際には足りなくなりやすい点に注意が必要です。

2. 試験の免除について

特定技能1号になるには、原則として日本語試験と技能試験の両方に合格する必要があります。ただし技能実習2号を良好に修了している人には、この2つの試験それぞれに免除があります。免除される範囲は試験ごとに違い、特定技能外国人受入れに関する運用要領の記述は次の通りです。

試験免除の条件
日本語試験(N4レベル)技能実習2号を良好に修了していれば、原則として修了した職種・作業の種類にかかわらず免除
技能試験技能実習2号を良好に修了し、かつ従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合のみ免除

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つまり、実習とまったく違う分野へ移りたい場合でも、受けなければならないのは移行先の技能試験だけです。

ただし、日本語試験の免除には次の例外があります。

平成29年11月1日より前に実習を修了した人は対象外になる

上の免除ルールは、現行の技能実習法(平成29年11月1日施行)のもとで技能実習2号を修了した人向けのものです。それより前の旧制度下で「技能実習」を良好修了した人、または技能実習制度創設(平成22年7月1日)より前の「特定活動(技能実習)」を良好修了した人には別の経過措置が適用されており、出入国在留管理庁の案内によると2027年4月1日以降、この経過措置は廃止され、技能試験・日本語試験の両方への合格が修了状況にかかわらず必須になります。現行法下で実習を修了した一般的なケースについて、上の免除ルールに変更はありません。

3. 「良好に修了」とは何を指すか

免除の前提になる「技能実習2号を良好に修了している」は、運用要領で次のように定義されています。

技能実習を2年10か月以上修了したうえで、次のどちらかを満たすことです。

  1. 第2号技能実習計画の目標である技能検定3級(またはこれに相当する技能実習評価試験・専門級)の実技試験に合格している
  2. 実技試験には合格していないが、実習先が作成した評価に関する書面(評価調書)により良好に修了したと認められる

つまり実技試験に落ちていても、評価調書があれば免除の対象になり得ます。出勤状況・技能の修得状況・生活態度などを実習先が記載する書類です。

評価調書がもらえないとき

実習先から評価調書を出してもらえないケースが実際にあり、国会でも取り上げられています。政府の答弁書(2019年11月26日)は、評価調書は実習生本人と実習実施者が「当事者間での合意の上で作成されるべきもの」との立場を示しており、発行を法的に義務づける規定はありません。作成を拒否されても、それ自体は違法ではないということです。

この問題を受けて、入管庁は2019年9月に運用要領を改正し、評価調書が提出できない場合の代替手段を用意しました。その経緯を説明する理由書と、当時の技能実習指導員など実習状況を知る立場の人が作成した文書を提出したうえで、入管庁が総合的に評価することも可能だとしています。まず地方出入国在留管理局に相談してください、と明記されています。あきらめる前に相談先があるということです。

なお、実習していた会社がそのまま特定技能で雇う場合は、その会社が過去1年以内に技能実習法の改善命令を受けていなければ、実技試験の合格証明書と評価調書の提出を省略できます。

4. 残っている壁①:業種によっては、受入れ企業側に追加の要件がある

ここからが、いま実際に問題になる部分です。

工業製品製造業のいくつかの業種では、外国人本人ではなく受入れ企業に対して、該当業種だけの追加要件が設定されています。特定技能では次の3業種です。

業種受入れ企業に課される追加要件
印刷・同関連業全日本印刷工業組合連合会・全国グラビア協同組合連合会・全日本製本工業組合連合会のいずれかに所属していること
こん包業日本梱包工業組合連合会に所属していること
繊維業(紡織製品製造・縫製)下記の4要件

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このうち繊維業の要件が最も重く、内容も具体的です。経済産業省の資料は、その理由を「繊維業の技能実習制度において、時間外労働に対する賃金不払等の法令違反の割合が高いこと」と説明しています。働く側を守るための要件です。

繊維業の上乗せ4要件(受入れ企業が満たす)
① 国際的な人権基準に適合して事業を行っていること
② 勤怠管理を電子化していること
③ パートナーシップ構築宣言を実施していること
④ 特定技能外国人の給与を月給制とすること

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①は具体的で、第三者の認証・監査機関の審査を受けて適合していることが求められます。対象として挙げられているのは、GOTS、OEKO-TEX STeP、Bluesign、Global Recycled Standard(GRS)、日本アパレルソーイング工業組合連合会の取引行動規範ガイドライン、Japanese Audit Standard for Textile Industry(JASTI)です。申請時点で有効期限が3か月以上残っていること、受入れ事業所単位で取得していることも条件です。

これに加えて、製造業に共通する要件(派遣契約でないこと、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への入会など)もあります。

いま働いている会社が認証や組合加入の条件を満たしていなければ、その会社では特定技能に移れません。要件を満たす別の会社を探すことになります。

自分の職種が上の3業種にあたるなら、実習が終わる前に、監理団体か会社に「うちはこの業種の追加要件を満たしていますか」と確認しておくと、進路の見通しが立てやすくなります。

5. 残っている壁②:特定活動6か月は「試験に合格してから」

実習の在留期限までに特定技能の申請が間に合わないとき、つなぎとして在留資格「特定活動」(技能実習にも特定技能にも当てはまらない事情を抱えた人向けに、個別に活動内容を指定して認められる在留資格)を使う方法があります。ただし、使える条件は限られています。

入管庁のページに書かれている条件は次の通りです。

3つ目が重要です。この特定活動は「試験勉強のための猶予期間」ではありません。試験に合格していない人は要件に当てはまらない、と入管庁は明記しています。分野を変えて技能試験を受け直す必要がある人は、実習期間中に受験を済ませておく必要があります。

6. ここに至るまでの経緯

いまの形になるまでに何があったかを、公表資料で確認できる範囲で時系列に並べます。

時期できごと
2019年4月特定技能制度スタート(14分野)。技能実習2号修了者への試験免除は、制度の基準を定める省令にこのときから置かれている
2022年8月30日閣議決定。製造業・建設分野の業務区分を19から3に統合し、製造3分野を1分野に集約(14分野→12分野)
2022年11月技能実習制度の見直しを議論する有識者会議が発足
2023年11月2日「デフレ完全脱却のための総合経済対策」閣議決定。特定技能の対象分野追加を2023年度中に検討するよう指示
2023年11月30日有識者会議の最終報告書。新制度(育成就労)の受入れ対象分野は「特定技能制度における特定産業分野が設定される分野に限る」とされた
2024年3月29日閣議決定。分野名を「工業製品製造業分野」に変更し繊維業などを追加、新規4分野も追加(12分野→16分野)
2024年9月30日繊維業(紡織製品製造・縫製)の受入れ手続き開始
2026年1月23日特定技能・育成就労の分野別運用方針を閣議決定(特定技能19分野/育成就労17分野)

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この表について、資料上はっきりしている点を3つ補足します。

なお、有識者会議の最終報告書は、育成就労の受入れ対象分野を「特定技能制度における特定産業分野が設定される分野に限る」としています。特定技能にない分野は育成就労の対象にもならない、という関係になっています。

7. 2027年4月以降はどうなるか

いま技能実習で在留している人は、経過措置により技能実習のまま計画を修了できます。2027年4月に育成就労へ強制的に切り替わるわけではありません(制度全体の移り変わりは「技能実習・育成就労ってなに?」にまとめています)。

そのうえで、受入れ企業側の追加要件は育成就労にも引き継がれ、対象業種はむしろ増えます。経済産業省の資料によると、育成就労の告示では、繊維工業・印刷・同関連業・こん包業に加えて、ゴム製品製造業・金属熱処理業・RPF製造業を行う事業所も、育成就労協議会で協議が調った事項に関する措置を講じることとされています。

この部分はまだ動いています

育成就労側の上乗せ基準は、2026年7月に育成就労協議会で決定される予定と示されていました。決定され次第、経済産業省のホームページで公表されるとされています。この記事の内容は2026年7月時点の公表資料に基づくもので、確定した基準の内容は改めて確認が必要です。

まとめ

分野を変えることを考えているなら、どの分野に受入れ枠があり、その先に特定技能2号への道があるかは「育成就労の業界一覧」で比べられます。

困ったときの相談先

お金や契約のことで不安があるときは、母国語で相談できる公的な窓口があります。相談は無料です。まず、話してみるところからで大丈夫です。

外国人技能実習機構(OTIT) 母国語相談(ベトナム語)Tiếng Việt外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)Tiếng Việt

出典

  1. 出入国在留管理庁「技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について(令和8年6月1日時点)」www.moj.go.jp/isa/content/001463725.pdf(取得 2026-07-29)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00201.html(取得 2026-07-29)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)」www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/10_00025.html(取得 2026-07-29)
  4. 経済産業省 製造産業局生活製品課「繊維業の上乗せ4要件について(2025年4月)」www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/240904-2.pdf(取得 2026-07-29)
  5. 経済産業省 製造産業局生活製品課「特定技能制度における繊維業の追加を踏まえた対応方針について(2024年4月)」www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/textile_industry/pdf/011_03_01.pdf(取得 2026-07-29)
  6. 経済産業省「工業製品製造業分野における育成就労外国人の受入れについて(2026年5月)」www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/kogyoseihin-seizogyo_ikusesyuro.pdf(取得 2026-07-29)
  7. 出入国在留管理庁「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)」www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/2024.03.29.kakugikettei.html(取得 2026-07-29)
  8. 出入国在留管理庁「特定技能における受入れ見込数の見直し及び制度の改善について(令和4年8月30日閣議決定)」www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00027.html(取得 2026-07-29)
  9. 出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議 最終報告書(令和5年11月30日)」www.moj.go.jp/isa/content/001407013.pdf(取得 2026-07-29)
  10. 内閣(衆議院)「衆議院議員大西健介君提出特定技能に移行した技能実習生に対する評価調書作成に関する質問に対する答弁書(令和元年11月26日)」www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b200080.htm(取得 2026-07-30)
  11. 出入国在留管理庁「特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について(令和8年3月27日)」www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00001.html(取得 2026-07-30)
  12. 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況(2026年7月17日掲載)」www.moj.go.jp/isa/10_00259.html(取得 2026-07-30)
  13. 出入国在留管理庁「技能実習法施行以前の「技能実習」等を修了した者が「特定技能1号」に移行しようとする場合の取扱いについて」www.moj.go.jp/isa/10_00262.html(取得 2026-07-30)

更新 2026-07-30/次回見直し 2027-03-01。 内容は変動する可能性があります。この記事は一般的な情報の整理であり、個別の判断は上記の相談窓口へ。