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工業製品製造業で働く:受入れ規模19分野2位でも、
特定技能2号に進めるのは17区分中3つだけ

入国前在留中更新 2026-08-01 ・ 読了 約8分

工業製品製造業は、育成就労の受入れ見込数で建設に次ぐ19分野2位の規模を持つ分野です。業務区分は17にのぼり、扱う製品も金属・電子機器から繊維・陶磁器・家具まで多岐にわたります。ただし、長く働き続ける道である特定技能2号に進めるのは、その17区分のうちわずか3区分だけです。ここでは、政府が公表している運用方針・運用要領の一次情報で、この分野を選んだときの働き方・条件と、区分によって大きく異なる将来の見通しを整理します。

この記事の要点

1. 受入れの規模と人手不足の度合い

工業製品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針によると、受入れ見込数は次の通りです。

区分人数期間
分野全体(特定技能+育成就労)319,200人令和6年度〜令和10年度の5年間
うち特定技能1号199,500人令和6年度から5年間の上限(令和10年度末まで)
うち育成就労119,700人令和9年度から2年間の上限(令和10年度末まで)

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運用方針によると、令和10年度には製造業分野全体で68万3,700人程度の人手不足が見込まれる中、工場のデジタル化等による生産性向上(33万900人程度の省人化)や職場環境・人事制度の整備による追加的な国内人材の確保(3万3,600人程度)を行ってもなお不足すると見込まれる人数が、この31万9,200人の根拠とされています。

有効求人倍率は、製造業分野に係る職種で令和6年度2.81倍。全職業平均(1.25倍)の2倍以上です。

特定技能1号の枠は、建設ほど逼迫していない

出入国在留管理庁の集計(令和7年12月末)によると、工業製品製造業の特定技能1号在留者数は56,736人(全分野中3位、対令和7年6月末比+11.1%)。上限19万9,500人に対しては約28%です。同じ集計で建設が上限の約65%まで埋まっているのと比べると、この分野は受入れ枠に余裕があります。特定技能2号の在留者数も840人(全分野中5位、対令和7年6月末比+104.9%)で、着実に増えています。

2. どんな仕事をするか:17の業務区分を4つの系統に整理

工業製品製造業は、2022年8月の閣議決定で技能実習の19業務区分が統合され、2024年3月の閣議決定で繊維・衣服関係などが編入されてできた分野です(経緯の詳細は「技能実習のあと特定技能へ移れるか」で解説しています)。そのため、他の分野(介護1区分、外食業1区分、建設3区分)と比べて業務区分の数が飛び抜けて多く、17に及びます。系統別に整理すると次のようになります。

系統業務区分
金属・機械系(3区分)機械金属加工/電気電子機器組み立て/金属表面処理
窯業・建材系(5区分)コンクリート製品製造/陶磁器工業製品製造/定形・不定形耐火物製造/生コンクリート製造/プレハブ製造
繊維・紙・印刷系(4区分)紡織製品製造/縫製/紙器・段ボール箱製造/印刷・製本
その他(5区分)電線・ケーブル製造/家具製造/ゴム製品製造/RPF製造/かばん製造

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金属・機械系の3区分だけが、特定技能2号への道を持っています

4章で詳しく説明しますが、特定技能2号評価試験が用意されているのは「金属・機械系」の3区分(機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理)だけです。窯業・建材系、繊維・紙・印刷系、その他の14区分には、2026年8月時点でこの分野の中で2号に進む試験の仕組みがありません。

技能実習からの対応関係で見ると、電線・ケーブル製造、定形・不定形耐火物製造、生コンクリート製造の3区分は、対応する技能実習職種がなく新設された区分です。かばん製造も対応する技能実習職種がなく、技能実習への追加申請中の扱いになっています。技能実習からこの分野へ移る場合、自分の職種がどの区分に対応するかを事前に確認しておく必要があります。

雇用形態はいずれの区分も直接雇用のみです(労働者派遣は不可)。いずれの業務区分でも、従事する日本人が通常行う関連業務(原材料・部品の調達・搬送、各業務の前後工程作業、クレーン・フォークリフト運転、清掃・保守管理等)に付随的に従事することは差し支えないとされています。

3. この分野特有の受入れ条件

転籍制限期間:2年

転籍(本人の意向による勤務先変更)が認められるまでの制限期間は2年です。運用方針が挙げる理由は次の通りです。

1年を超える転籍制限には、受入れ側の昇給義務がある

毎年、製造業分野の育成就労協議会が、分野内の全企業の賃上げ率(所定内給与の定期昇給分・ベースアップ分)を基準に昇給率を設定・公表します。1年を超える転籍制限期間を設定した育成就労実施者は、在籍する育成就労外国人の所定内給与を1年目から2年目にかけて、この昇給率以上に昇給させることが必要です。1年に設定した実施者には、この昇給義務は生じません。

受入れ企業に共通して課される条件

製造業分野は専門職種・事業者団体がともに多数に分かれているため、受入れ企業には次の条件が共通して課されています。

4. 業種によっては、受入れ企業に追加の条件がある

事業所が属する産業(日本標準産業分類上の区分)によっては、上記の共通条件に加えて、業種ごとの追加要件が課されます。特定技能と育成就労で対象になる業種の範囲が異なる点に注意が必要です。

業種特定技能育成就労内容
繊維工業国際的な人権基準への適合、勤怠管理の電子化、パートナーシップ構築宣言の実施、給与の月給制
印刷・同関連業全日本印刷工業組合連合会・全国グラビア協同組合連合会・全日本製本工業組合連合会・全日本金属印刷工業協同組合連合会のいずれかへの所属
こん包業日本梱包工業組合連合会への所属
ゴム製品製造業技能実習計画審査基準と同様の基準(育成就労側のみ対象)
金属熱処理業技能実習計画審査基準と同様の基準(育成就労側のみ対象)
RPF製造業技能実習計画審査基準と同様の基準(育成就労側のみ対象)

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繊維工業・印刷同関連業・こん包業の3業種は特定技能・育成就労の両方が対象ですが、ゴム製品製造業・金属熱処理業・RPF製造業の3業種は育成就労側だけの対象です。経済産業省の資料によると、繊維工業・印刷同関連業・こん包業は「特定技能制度の協議会で決定した上乗せ基準又はそれに類する基準」、ゴム製品製造業・金属熱処理業・RPF製造業は「技能実習計画審査基準における基準と同様の基準」とする方針が示されています。

育成就労側の具体的な基準は、この記事の時点で未公表

経済産業省の資料(2026年6月)によると、これらの上乗せ基準の具体的な内容は、2026年7月に育成就労協議会で決定し、決定次第ホームページで公表するとされていました。しかしこの記事の執筆時点(2026年8月1日)で、経済産業省の工業製品製造業分野ページに決定内容の公表は確認できていません。繊維工業・印刷同関連業・こん包業を行う事業所で育成就労外国人の受入れを検討している場合は、公表状況を確認してください。なお特定技能側の3業種(繊維工業・印刷同関連業・こん包業)の基準は、2026年6月25日改正の運用要領ですでに確定・公表されています。

5. 長く働き続ける道:特定技能2号は17区分中3区分だけ

工業製品製造業は特定技能2号の対象分野ですが、2号評価試験が用意されているのは17区分のうち機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分だけです。要件は次の通りです。

要件内容
技能水準該当区分の製造分野特定技能2号評価試験+ビジネス・キャリア検定3級(生産管理プランニング又は生産管理オペレーション)。または各区分に対応する技能検定1級(鋳造・鍛造・機械加工・電気機器組立て・めっき等)
実務経験複数の技能者を指導しながら製造工程の作業に従事し、工程を管理する業務(班長等に相当)としての実務経験
日本語能力水準「日本語教育の参照枠」のB1相当以上

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技能検定1級での代替ルートが用意されている点は他分野にあまり見られない特徴です。ただし、複数の技能者を指導する班長としての実務経験が必須である点は建設・外食業と共通しています。

窯業・建材系、繊維・紙・印刷系、その他の14区分(縫製、紡織製品製造、家具製造、印刷・製本、かばん製造など)には、2026年8月時点でこの分野の中で2号に進む評価試験の仕組みが存在しません。これらの区分で働いている、またはこれから選ぼうとしている場合、特定技能2号を目指すのであれば、機械金属加工など対象区分への異動や、他分野での2号要件を検討する必要があります(区分を変えた場合の技能試験・日本語試験の扱いは「技能実習のあと特定技能へ移れるか」を参照してください)。特定技能2号になれば、在留期間の更新に上限がなくなり、配偶者・子を呼ぶことができます。

まとめ

他の分野の受入れ枠や特定技能2号への道の有無と比べたい場合は「育成就労の業界一覧」、技能実習からの移行全般については「技能実習のあと特定技能へ移れるか」で確認できます。

困ったときの相談先

お金や契約のことで不安があるときは、母国語で相談できる公的な窓口があります。相談は無料です。まず、話してみるところからで大丈夫です。

外国人技能実習機構(OTIT) 母国語相談(ベトナム語)Tiếng Việt外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)Tiếng Việt

出典

  1. 法務大臣・厚生労働大臣・国家公安委員会・外務大臣・経済産業大臣「工業製品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」www.moj.go.jp/isa/content/001454691.pdf(取得 2026-08-01)
  2. 法務省・経済産業省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-工業製品製造業分野の基準について-(令和8年6月25日一部改正)」www.moj.go.jp/isa/content/001465355.pdf(取得 2026-08-01)
  3. 法務省・厚生労働省・経済産業省「特定の分野に係る育成就労制度運用要領-工業製品製造業分野の基準について-(令和8年6月)」www.moj.go.jp/isa/content/001463736.pdf(取得 2026-08-01)
  4. 経済産業省「工業製品製造業分野における育成就労外国人の受入れについて(2026年6月)」www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/kogyoseihin-seizogyo_ikusesyuro.pdf(取得 2026-08-01)
  5. 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント」www.moj.go.jp/isa/content/001459490.pdf(取得 2026-08-01)

更新 2026-08-01/次回見直し 2026-09-15。 内容は変動する可能性があります。この記事は一般的な情報の整理であり、個別の判断は上記の相談窓口へ。