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建設分野で働く:受入れ規模19分野最大でも、
安全と受入れ枠に注意が必要な理由

入国前在留中更新 2026-07-31 ・ 読了 約8分

建設は、受入れ見込数が19分野の中でも最大級の規模を持つ分野です。ただし数字が大きいことと、実際に長く安全に働けることは別の話です。建設業は他の産業より労働災害の発生率が高く、受入れ企業には建設業法の許可や受入れ人数の上限など、他分野にはない条件が課されています。さらに、特定技能1号の枠がどれくらい残っているかによって、この先のキャリアの見通しも変わってきます。ここでは、政府が公表している運用方針と最新の統計で、建設分野を選んだときの働き方・条件と、いま実際に何が起きているかを整理します。

この記事の要点

1. 受入れの規模と人手不足の度合い

建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針によると、受入れ見込数は次の通りです。

区分人数期間
分野全体(特定技能+育成就労)199,500人令和6年度〜令和10年度の5年間
うち特定技能1号76,000人令和6年度から5年間の上限(令和10年度末まで)
うち育成就労123,500人令和9年度から2年間の上限(令和10年度末まで)

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建設業には、外食業のような単一の有効求人倍率の数値がありません。運用方針は代わりに「建設労働需給調査」(国土交通省)の過不足率を指標として使っており、令和7年10月時点で0.8%と、全国的・全職種的には落ち着いた水準としています。一方で、令和10年度に必要となる建設技能者数は約312万人と推計されるのに対し、生産性向上・国内人材確保の取組を続けてもなお約20万人の建設技能者が不足すると見込まれています。

特定技能1号の枠は、すでに65%程度が埋まっている

出入国在留管理庁の集計(令和7年12月末)によると、建設分野の特定技能1号在留者数は49,323人。上限7万6,000人に対して約65%(残り約26,700人分)です。半年前(令和7年6月末、43,599人)からの増加ペース(+13.1%)がそのまま続くと仮定すると、単純計算で約2年4か月後に上限へ到達する可能性があります。特定技能1号の枠は令和10年度末までの5年間トータルの上限として運用されるため、この先も同じペースで増え続ければ、期間の終わりを待たずに上限へ近づくことになります。

2. どんな仕事をするか

建設分野で特定技能外国人・育成就労外国人が従事する業務区分は、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つに整理されています。

業務区分従事する業務(特定技能1号)作業の例
土木指導者の指示・監督を受けながら、土木施設(道路・公園・河川堤防・港湾施設・空港滑走路等)の新設、改築、維持、修繕に係る作業等コンクリート圧送、とび、建設機械施工、塗装 等
建築指導者の指示・監督を受けながら、建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しくは模様替に係る作業等建築大工、鉄筋施工、とび、屋根ふき、左官、内装仕上げ、塗装、防水施工 等
ライフライン・設備指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等配管、保温保冷、電気工事、電気通信工事 等

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特定技能2号になると、いずれの区分でも「複数の建設技能者を指導しながら」工程を管理する業務に変わります(次の章で詳しく説明します)。なお、いずれの区分でも、試験等によって専門性を確認されない作業準備・運搬・片付けのような関連業務に付随的に従事することは差し支えないとされています。

雇用形態は直接雇用のみです(労働者派遣は不可)。

3. この分野特有の受入れ条件

建設分野では、受入れ企業に対して他分野にはない条件が数多く課されています。

条件内容
1. 建設業法第3条の許可受入れの大前提。過去5年以内に建設業法に基づく監督処分を受けていないことも要件
2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録受入れ企業・受け入れる外国人の両方を登録
3. 業界団体への所属特定技能はJAC(建設技能人材機構)またはこれを構成する建設業者団体、育成就労は国土交通省が組織する協議会
4. 報酬・処遇同等の技能を有する日本人と同等以上の報酬を、月給制で安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給
5. 受入れ人数の上限受け入れる外国人の数が、常勤職員(技能実習生・育成就労外国人・特定技能外国人を除く)の総数を超えないこと。ただし主務省令の基準を満たす優良な実施者は対象外

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5番目の「受入れ人数の上限」は、他分野にはあまり見られない建設分野の特徴です。たとえば常勤職員が10人の会社であれば、原則として受け入れられる外国人(技能実習・育成就労・特定技能1号のいずれも)は10人までということになります。

転籍制限期間:2年

転籍(本人の意向による勤務先変更)が認められるまでの制限期間は2年です。運用方針が挙げる理由は次の通りです。

1年を超える転籍制限には、受入れ側の昇給義務がある

毎年、育成就労の協議会が建設業の前年平均賃金の上昇率を基準に昇給率を設定・公表します。1年を超える転籍制限期間を設定した育成就労実施者は、在籍する育成就労外国人の所定内賃金を1年目から2年目にかけて、この昇給率以上に昇給させることが必要です。

安全:建設業は労働災害の発生率が他産業より高い

令和7年の労働災害発生状況(確定値)によると、建設業の死亡者数は214人(前年比▲18人・▲7.8%)で、全産業700人のうち約30.6%を建設業が占めています。死亡災害の事故類型では「墜落・転落」が91人と突出しており、全体の42.5%を占めます。

外国人労働者に限ると、さらに厳しい数字が出ています。令和5年 外国人労働者の労働災害発生状況(在留資格別に確認できる最新の集計)によると、建設業における死傷者数997人のうち、技能実習が570人と突出して多く、特定技能は119人でした。死傷年千人率(在留資格別、全業種)は技能実習4.10・特定技能4.31で、全労働者平均2.36の約1.8倍です。運用方針が転籍制限の理由の一つに「労働安全衛生教育に一定の時間をかける必要がある」ことを挙げているのは、こうした実態を踏まえたものです。

4. 長く働き続ける道:特定技能2号

建設分野は特定技能2号の対象分野です。要件は次の通りです。

要件内容
技能水準建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級等に合格
実務経験建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験
日本語能力水準「日本語教育の参照枠」のB1相当以上

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技能試験に加えて、班長として複数の技能者を指導した実務経験が要件になっている点は外食業の副店長要件と似た構造です。特定技能2号になれば、在留期間の更新に上限がなくなり、配偶者・子を呼ぶことができます。国土交通省の資料によれば、2024年12月末時点で特定技能2号の在留者は213人にとどまっており、まだ実例の少ない段階です。

5. 今後の見通し:育成就労の新規受入れ数と、特定技能1号に移れる枠の差

ここは運用方針そのものには書かれていない、当サイトによる分析です。育成就労は令和9年度から令和10年度までのわずか2年間で12万3,500人の新規受入れを見込んでいます。一方、特定技能1号は令和6年度から令和10年度までの5年間トータルで7万6,000人が上限で、1章で見た通り、令和7年12月末時点ですでに約65%(49,323人)が埋まっています。

つまり、育成就労として新規に入ってくる人数の規模に対して、その後に移れる特定技能1号の枠は構造的に少ない可能性があります。もし今後も同じペースで特定技能1号の在留者が増え続ければ、令和10年度末という期間の終わりを待たずに上限へ達し、外食業と同様に在留資格認定証明書の交付が一時停止される展開もありえます(運用方針には、国土交通大臣が人手不足の指標の変化に応じて法務大臣に一時停止を求める仕組みがあらかじめ定められています)。

外食業では実際にこの一時停止が2026年4月13日から発動しており、技能実習からの移行者であっても無条件の許可ではなくなっています(詳しくは「外食業で働く」)。建設分野では、この記事の時点でまだそうした停止措置は発表されていませんが、枠の残りが少なくなっていること自体は一次資料で確認できる事実です。育成就労・技能実習から建設分野の特定技能1号への移行を考えている場合は、この先の受入れ見込数の消化状況を確認しておく価値があります。

まとめ

他の分野の受入れ枠や特定技能2号への道の有無と比べたい場合は「育成就労の業界一覧」、技能実習からの移行全般については「技能実習のあと特定技能へ移れるか」で確認できます。

困ったときの相談先

お金や契約のことで不安があるときは、母国語で相談できる公的な窓口があります。相談は無料です。まず、話してみるところからで大丈夫です。

外国人技能実習機構(OTIT) 母国語相談(ベトナム語)Tiếng Việt外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)Tiếng Việt

出典

  1. 法務大臣・厚生労働大臣・国家公安委員会・外務大臣・国土交通大臣「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」www.moj.go.jp/isa/content/001454692.pdf(取得 2026-07-31)
  2. 国土交通省 不動産・建設経済局 国際市場課「外国人建設技能者の現状と育成就労制度について」www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001900178.pdf(取得 2026-07-31)
  3. 厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」www.mhlw.go.jp/content/11302000/001704887.pdf(取得 2026-07-31)
  4. 厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課「令和5年 外国人労働者の労働災害発生状況」www.mhlw.go.jp/content/11302000/001099506.pdf(取得 2026-07-31)
  5. 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント」www.moj.go.jp/isa/content/001459490.pdf(取得 2026-07-31)

更新 2026-07-31/次回見直し 2026-09-15。 内容は変動する可能性があります。この記事は一般的な情報の整理であり、個別の判断は上記の相談窓口へ。